DX、つまりデジタルを使った仕事の改善に取り組もうとして、最初にシステムやAIを探し始める企業は少なくありません。
しかし、便利なツールを導入することと、会社のDXが進むことは同じではありません。
経済産業省が示しているDXの考え方を読み解くと、最初に考えるべきなのは「何を導入するか」ではなく、「会社をどのように変えたいか」であることが分かります。
「DX推進ガイドライン」は現在どうなっているのか
経済産業省は2018年に「DX推進ガイドライン」を公表しました。
その後、内容の整理や改訂が行われ、現在は「デジタルガバナンス・コード3.0」という資料に、その考え方が引き継がれています。
名前は難しく見えますが、企業に求めていることを簡単に表すと、次のようになります。
デジタル技術を使って、会社の将来像を実現するための仕組みをつくる
つまり、紙をデータに変えたり、新しいシステムを導入したりするだけではありません。
会社が目指す姿を決め、業務・組織・人材・システムを一緒に見直すことがDXです。
国の指針を五つの質問に置き換える
デジタルガバナンス・コード3.0では、企業が取り組むことを五つの柱に分けています。
専門用語を使わずに置き換えると、次の五つの質問になります。
| 国が示す柱 | 会社で考える質問 |
|---|---|
| 経営ビジョン・ビジネスモデルの策定 | 将来、どのような会社になりたいか |
| DX戦略の策定 | そのために、何を変える必要があるか |
| DX戦略の推進 | 誰が担当し、どのような仕組みをつくるか |
| 成果指標の設定・戦略の見直し | 改善できたかを何で判断するか |
| ステークホルダーとの対話 | 社員や取引先へ、どのように共有するか |
大切なのは、この五つがつながっていることです。
「業務が大変だからシステムを入れる」だけでは、会社が目指す姿や成果の測り方が抜けてしまいます。
例えば受注業務を改善する場合
受注業務に時間がかかっている会社を例に考えてみます。
すぐに受注管理システムを探すのではなく、まず次の順番で整理します。
- どのような状態を目指すのか
- 現在どこに手間やミスがあるのか
- 誰がどの作業に責任を持つのか
- 顧客・商品・注文の正しい情報をどこに置くのか
- 時間やミスがどれだけ減ったかを何で測るのか
ここまで整理してから、必要なシステムや自動化の方法を考えます。
この順番であれば、現在の作業をそのままデジタルへ移すのではなく、業務そのものを見直せます。

ツール導入の前に、業務・役割・情報・成果を整理する。まずは一つの業務から始め、周辺業務へ広げる
最初から全社を変える必要はない
DXという言葉から、大規模なシステム開発や全社改革を想像するかもしれません。
しかし、最初から会社全体を作り直す必要はありません。
まずは、負担が大きく、改善効果が分かりやすい一つの業務を選びます。
その業務について、流れ・役割・情報の置き場所・成果の測り方を整理し、実際に運用します。そこで得られた結果をもとに、次の業務へ広げていきます。
例えば、受注業務から始めた場合は、次のようにつなげられます。
受注管理 → 作業指示 → 実績管理 → 請求 → 原価・利益の把握
一つずつつなげることで、無理なく会社全体の仕組みを整えられます。
まとめ
経済産業省が示しているDXは、単なるシステム導入ではありません。
会社が目指す姿を決め、その実現に必要な業務・役割・情報・システムを整える取り組みです。
最初の一歩は、DX製品を探すことではなく、改善する業務を一つ選び、現在の流れを整理することです。
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