仕事のデジタル化

経済産業省のデータから見るDXの現在地|約7割の企業が抱える共通課題

経済産業省が策定したDX推進指標とIPAの分析データをもとに、日本企業の仕事のデジタル化がどこまで進んでいるのかを、専門知識がない方にも分かりやすく解説します。

公開日: 著者: 株式会社Arvix 代表 山中 裕喜
#DX#業務改善#中小企業
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「日本企業のDX、つまりデジタルを使った仕事の改善はどこまで進んでいるのでしょうか」

経済産業省は、企業が自社のDXの進み具合を確認するために「DX推進指標」という自己診断の仕組みを用意しています。

2025年に提出された診断結果を見ると、多くの企業がDXに取り組み始めている一方で、会社全体の仕組みとして定着させることに難しさを抱えていることが分かります。

DX推進指標は会社の「健康診断」

DX推進指標は、経営者や担当者が話し合いながら、自社の現在地を確認するための仕組みです。

学校の成績のように、企業の優劣を決めるものではありません。

健康診断で現在の状態を確認するように、DXについても「できていること」と「これから取り組むこと」を確認します。

診断では、DXの進み具合をレベル0からレベル5までの六つの段階で考えます。

六つのレベルを簡単に整理する

それぞれのレベルを、会社での取り組み方に置き換えると次のようになります。

レベル 会社の状態
レベル0 まだ具体的な取り組みを始めていない
レベル1 一部の担当者や部署が個別に試している
レベル2 会社の方針に沿って、一部の部署で進めている
レベル3 複数の部署がつながって取り組んでいる
レベル4 成果を測りながら継続的に改善している
レベル5 社外も巻き込み、新しい価値を生み出している

いきなりレベル4や5を目指す必要はありません。

大切なのは、自社が今どこにいて、次に何を整える必要があるかを把握することです。

DX推進指標のレベル0からレベル5までの段階イメージ。約7割の企業がレベル1〜2の範囲に集中している

DX推進指標は、自社の現在地を確認するための「健康診断」。大切なのは、今どこにいるかを知り、次の一歩を決めること

約7割が「一部で取り組んでいる段階」

IPAが2025年の自己診断結果1,164件を分析したところ、約7割の企業が、レベル1以上3未満の範囲に集中していました。

簡単に表すと、次のような段階です。

DXには取り組み始めているが、会社全体の仕組みにはなっていない

例えば、次のような状態が考えられます。

  • 一部の部署だけで新しいシステムを使っている
  • 担当者ごとにExcelやAIを活用している
  • 個別の業務は便利になったが、前後の業務とはつながっていない
  • 取り組みの成果を測る数字が決まっていない

取り組みが始まっていないのではありません。

個別の改善を、会社全体の仕組みへつなげるところで止まりやすいということです。

継続的に改善できている企業は3%

同じ分析では、レベル4以上に当たる企業は全体の3%でした。

レベル4は、単にシステムを導入している状態ではありません。

目標を決め、成果を数字で確認し、結果に応じて業務や仕組みを見直している状態です。

例えば、受注業務を改善した場合には、次のような数字を継続して確認します。

  • 受注処理にかかる時間
  • 入力ミスや確認漏れの件数
  • 納品までにかかる日数
  • 一件当たりの作業コスト

システムを導入して終わるのではなく、実際に改善できたかを確認するところまでがDXです。

約7割という数字から分かること

この結果から、DXが進まない理由を「技術がないから」とだけ考えることはできません。

多くの企業は、すでに何らかのツールやシステムを利用しています。

それでも会社全体の取り組みにならないのは、個別の改善をつなぐための方針や役割が決まっていないからです。

必要なのは、さらに多くのツールを導入することではなく、次のことを整理することです。

  1. 何を改善したいのか
  2. 誰が責任を持つのか
  3. どの情報を正しいものとして扱うのか
  4. どの業務とつなげるのか
  5. 成果を何の数字で確認するのか

中小企業は一つの業務から始める

人員や予算が限られる中小企業では、全社的なDX計画を最初から作ることが難しい場合もあります。

そこで、まずは負担の大きい一つの業務を選びます。

例えば、毎月8時間かかっている集計業務を4時間に減らす、転記ミスをなくす、担当者以外でも処理できるようにするといった、具体的な目標を決めます。

改善した結果を確認し、うまくいった仕組みを周辺の業務へ広げていきます。

この積み重ねが、個別の業務改善を会社全体のDXへつなげます。

まとめ

経済産業省のDX推進指標に基づくデータでは、約7割の企業が「取り組みは始めているが、会社全体には広がっていない段階」にあります。

これは、DXに失敗しているという意味ではありません。

多くの企業が、個別の取り組みを会社の仕組みへ変える途中にいるということです。

まずは一つの業務について、目標・役割・情報・成果の測り方を整理し、継続的に改善することが重要です。

Arvixは、一つの業務の現状整理から改善計画、システム化、その後の周辺業務への展開までを支援しています。サービス内容もご覧ください。

※本記事の数値は、2025年にDX推進指標の自己診断結果を提出した企業のうち、IPAが分析対象とした1,164件に基づきます。日本企業全体を無作為に抽出した調査ではありません。また、2025年の診断結果は、2026年の指標改訂前の内容に基づいています。

この記事を書いた人

株式会社Arvix 代表 山中 裕喜

小規模企業を対象に、仕事の流れ整理、必要な仕組みづくり、ExcelやAIを使った作業の自動化まで一貫して支援しています。

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